乳質改善  こんにちわ、あなたは、 読者数番目の読者です。今後ともよろしくお願いします。

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乳牛と主人そして命
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乳質改善
神様のような人たち

 皆さん、こんにちわ、乳牛のみな子です。
平成13年3月に我ご主人の加入する乳業組合で組合の総会がありました。組合数は、正組合員が340名あまり、准組合員あわせて1143戸で県全体をカバーしております。ここで総会のお決まりである表彰式がありました。

 内容は、共励会、功労者など6項目の表彰ですがこの中に、体細胞、細菌数、乳脂率、無脂固形分の規定値を1年間クリアした良質生乳出荷者表彰があります。
これをクリアすることは今の世の中、美味しい綺麗な牛乳の生産をするのが当然であるのですが、酪農家にとっては涙苦しい努力をやって行かなければなりません。
それは、組合が行なう月3回(別々に検査があるので6回)の抜き打ち検査を通っているからです。1年間36回の抜き打ち検査合格と云うことは並大抵では出来ません。一般から見ると簡単のようですが、私達乳牛は生き物であり、体の限界あたりで牛乳を生産しておりますので、ちょっとした事で調子を崩したりします。そのため乳牛の2代病である乳房炎を発病したり、乳成分が落ち込んだりいたします。ですので私達乳牛と酪農家とが最大限注意しないと達成出来ないのです。

 細菌ではバクトスキャンで測定値30万未満で毎回毎回ミルカーやバルククーラーのアルカリ洗浄、3日間隔の酸性洗浄の徹底を行ないますが、どこかちょっとした事で跳ね上がることがあります。
ときとして、ここだけの話ですが、3時間のバルククーラーの電源の入れ忘れで200リットルほどを廃棄したことも我ご主人はあります。また同じくバルククーラーの故障で圧縮機が回りっぱなしになり、乳温が下がらなくてご主人の顔が青くなったこともあります。それと搾乳に使用したバケツタオル等はアルカリ洗剤だ必ず毎回洗うことが大切だとご主人は云っておられます。
また、酸性洗剤で洗浄直後は細菌が検出されやすいと云われていますし、時には、集乳車の洗浄不足で細菌が増えることもあります。細菌は目に見えないので本当に細心の注意がいりますね。

   平成12年の夏、大手メーカーの某会社が大腸菌及び毒素の混入で大きな食中毒事件を起こし、バルブの洗浄を何日もやっていなかったと報道されましたが、牛乳生産現場の酪農家から見ればとんでもないことです。こんな所で牛乳を汚してもらっても我々乳牛及び酪農家は本当にやりきれません。もっと、細心の注意で頑張っている酪農家を見習うべきです。

   体細胞はフォソマチックで検査され30万未満が要求されます。体細胞とは牛乳に含まれる白血球や細菌との戦いで破れた白血球の死骸、乳腺組織の落脱した細胞などです。乳牛の2代病といわれる乳房炎の徹底した非感染、排除、感染した時は、罹患乳房の絶対的な早期確認、牛乳の廃棄を行なっていることです。乳房炎の検査で酪農家が最もよく行なうことはPLテスターですが毎回搾乳前に全頭行なうことは到底無理です。ですので、搾乳時に乳房炎の感染状態を確認します。

1)黒の寒冷紗で被せたカップに前搾りして乳房炎のブツを調べると同時に乳房の張具合  を調べる
  これは大切ですね。乳房炎になっていてもほんのちょっとしたブツしか出ませんがこ  れを見逃さないのが大切です
。 2)ミルカーの装着後各乳房から必ず牛乳が絞れているか確認する。また各乳房の張具合  を確認取ります
  装着が悪いと乳頭を折り曲げた格好になり出ないこともあります。乳房の張具合は搾  る時間と共に柔らかくなるのですが、炎症で硬くなって入るようだったら、必ずその  乳房は外すこと。そのまま装着しつづけると、ひどい乳房炎になり体を震わせて急激  な熱が出ることがあります。よってミルカー装着している時何回か乳房を触ることが  大切。ミルカーを複数使用している時はなかなかこれが出来ないのだが。

 とにかく乳房炎を発見したらその乳は絶対に出荷のための合乳はしないで廃棄します。慢性乳房炎も別に搾りきり廃棄します。

いくら注意を払っていても発見が出来ない時がありバルククーラーに合乳する時、漏斗で濾過紙で通らないことで発見することがありますが、この時はすでに遅しでいくらか濾過紙を通りぬけた牛乳で体細胞は直に30万を軽く超えてしまうものです。
また濾過紙をサット濾せる牛乳は心配ないでのですが、少しでも濾すのに時間がかかるような牛乳は100万以上あるのが普通です。このような牛乳を合乳したら、今日は検査がない事を祈るか、全ての牛乳の廃棄しかないですね。

 ところで我々の組合では細菌数が50万超えた時と体細胞が50万超えた時はその日の夕方に、組合からお出かけがあり厳重注意と検査が行なわれます。ですので夕方、組合の自動車を見つけたら覚悟を決めた方が良いですね。残念ながら。

 乳脂率は3.5%以上です。現在の乳牛はエサ特に粗飼料をしっかり食っていると乳脂率は4%位まで上がりますが、特に夏は消化しにくい粗飼料を食うと食べ残して繊維不足で3.5%を切る事があります。ご主人も以前イナワラを与えていた頃は、夏場は苦労されたようですが現在イナワラを少なくしてオーツヘイ乾燥を与えているので下がっても3.8%程度であるようです。

 無脂固形分は8.5%以上です。牛乳の脂肪分を除いた固形分ですね。牛乳の濃いさ、牛乳のこくの部分ですが乳脂率と同じくエサの状態で変わるようです。エサの粗飼料と濃厚飼料全体で養分不足を起こすと低くなって行きます。やはり夏場は熱さに弱い私達乳牛の弱点でどうしても下がり気味となりますが、扇風機や細霧での熱さ対策で無脂固形分を下げないで味の濃いい牛乳を維持できます。
またむせ返るような湿度にも弱いので、梅雨や秋雨も身にこたえます。ご主人や多くの酪農家の泣きどころかも知れません。

 一般に酪農家全員が乳牛の健康管理に注意を払い、誰もが乳質改善に挑んでおられるのですが1年間36回の抜き打ち検査に合格することは簡単でないようです。本当に血の出るような努力がなされているのです。

 こんな試練を乗り越えて1年間規定値をクリアされた人が22名表彰されましたがなんと連続4回の人が4名、連続3回の人が1名、連続2回が4名おられました。
ご主人も当組合に加入してから始めての受賞ですが、4回3回のお方が神様のように見えたと言っておられます。本当にすばらしい酪農家です。
ご主人も今年も2度目の表彰を受けるように頑張っておられます。8月まではなんとか合格ですので、後4ヶ月間、12月一杯努力に努力してくださいね、ご主人。

 このような酪農家に支えられた我組合は全国で上位の良質乳を生産しています。

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