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乳牛と主人そして命
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乳質改善
毎日の管理

 皆さん、こんにちわ、乳牛のみな子です。
牛乳を飲んでくださる皆さんにもっと綺麗なこくのある美味しい牛乳をお届けする為に我々乳牛と酪農家は日夜乳質改善に努力をいたしております。

 私とご主人の属する組合ではこの乳質で乳代の単価が決定されることになっており、特に重要な事柄であり毎日の管理に怠りなく努力しているのです。

 さて、乳質は細菌数と体細胞と乳脂率と無脂固形分などから成り立ちます。
細菌数はバクトスキャンで30万未満、体細胞はフォソマチックで30万未満、乳脂率は3.5%以上、無脂固形分は8.5%以上が規定値です。
細菌数は搾乳後の管理にゆだねるところが大きいのですが、生物である我々乳牛は健康であればこれらの規定値を満足する牛乳は作ることが出来ます。でも何かのはずみで健康を害した時とかストレスがかかった時には規定値を割ることがあります。健康を維持するのにはやはりご主人の管理が最大の主因ですね。我々乳牛ホルスタイン種は牛乳を沢山出すため数十年に渡って改良されてきました。特にこの近年の改良で能力的には一乳期一万キロを越す限度一杯に改良されて、ちょっとした事で体調を崩すことがあります。ご主人にとっては気の許せない管理が必要であるのです。

 ではここで、我ご主人と奥さんの乳質に関する夏の一日を追ってみることにします。

   朝、ご主人は酪農家としてはちょっと遅気味の6時30分に牛舎にやってこられます。まあ、6頭ほどの仲間ですのでご主人のリズムに従いましょう。

 扇風機が3台夜中中回りっぱなしです。なにしろ夕べも暑ぐるしかたです。牛舎の温度計は、26度指しています。
乳牛の最適温度は8度から18度くらいでしょうか、人間より5度は低いです。特に暑さには弱いです。何しろ、醗酵曹である第一胃を持っていますので常に大量の熱を発生させています。熱の放散は汗をかかないので、体表面と呼吸からですね。そして大量の水を飲みます。体温も常温動物ではあるのですが39度以上になってしまい呼吸もよだれを出して相当荒く呼吸します。
今のところ、そんな仲間はいないようです。
乳牛の季節は6季節あるとご主人は考えておられます。冬、春、梅雨、夏、秋雨、秋ですね。乳牛にとって最も過ごしやすい季節は、秋、冬、春で梅雨、夏、秋雨は大変な季節です。

 さてご主人は、昨晩のエサの食いこみ量を確認します。ここでどの牛か残しているようでしたら注意します。熱があるか食滞か、など重大な病気の場合物を食べなくなります。今日は、大体いつもと変わらなく食べているようです。
そして、まず粗飼料であるワラ、トウモロコシのサイレージ、イタリアンのサイレージをくれます。続いて濃厚飼料を乳量に応じて最高で3Kgくれます。朝の内濃厚飼料は2回くれますのでこれが第1回目ですね。
それから搾乳の準備にかかります。湯を出して7リットルをバケツに入れ殺菌剤の次亜塩素酸ナトリュムを入れて、バケット型ミルカーをセットします。 ミルカーの電源を入れこの湯をミルカーに吸わせて、ミルカーを殺菌後、洗浄専用のバケツに移します。この中にタオルを入れて乳房を洗う湯とします。
直径7cmのカップに黒い寒冷紗を被せ、これで牛乳の前搾りをしますが、まず始めに私の番です。前搾りは手で3回搾ります。
私はまだ初産で分娩後4ヶ月ですので搾乳にようやく慣れた程度で、この前搾りは嫌なんです。主人が前側の乳頭を握り締める時、ちょっとイヤイヤで後ろ足を上げます。するとご主人は、「おいおい、足上げるな」と言って搾るのですが、時にはカップをけり落とすこともあります。ご主人は機嫌悪くされますけどね。
このカップをよく眺めてブツが出ていないか確認取ります。ブツが出るのは乳房炎であるからです。特に注意します。乳房炎も前搾りで米粒の半分程度のブツしか確認されないこともありますし、場合によっては確認されないこともあります。
次に中程度に搾ったタオルで乳頭だけふき取りますが裏返しで2回拭いてくれます。そして洗浄後今度は硬く搾りとってまた2回拭いて乳房の張具合を手で触って確認取ります。やはり異常な張があると乳房炎の可能性があるのです。
綺麗になったか確認後ミルカーを装着します。このへんは、私も大分慣れて足を上げることも無くなりました。ご主人はライナーゴムが透明のシリコンゴムですので牛乳がきちんと搾れているか確認取ります。なんか左前のライナーに牛乳が流れていないように見えます。このテートカップを外して再度装着しなおします。今度は牛乳が搾れて流れています。このへんを注意しないと乳房炎になることもあります。ミルカーのパルセーターの快音がカチカチと気持ちよく響きます。
ところで、前搾り後ミルカー装着まで大体1分位で行ないます。これは前搾りで射乳ホルモンが分泌されますのでこのホルモンの効果が持続している時に搾乳することが肝心なのです。この状態での搾乳が最も早く搾乳でき、乳房及び乳頭に負担かけない搾乳方法なのです。
それとミルカーのパルセータの1分あたりの回数ですがご主人は早めに設定しています。普通50回から55回ですが60回に設定してあります。これは、乳頭の負担を少なくするためです。

 さて、数分で乳房が柔らかくなりますが、もし柔らかくならない乳房があったら乳房炎を疑います。即座に乳頭から外し、再度手で触って様子を見ますが、乳汁をPLテスターで検査します。
色と粘張度を見ますが色の変化が無くても粘張度があるときはやはり乳房炎を疑って全体の状態から判断します。
ところで、色の変化は正常では黄色で、乳房炎は青くなって行きます。粘張度は正常値がさらさらで乳房炎がきつくなって行くと糸を引き段々とドロドロになって行きます。
急性乳房炎がある乳房をミルカーで絞ると乳房炎を極端に悪くします。体を震わせながら熱が40度以上に上がり重症となるので本当に注意が必要です。

 手を当てて乳房も柔らかくなったら最後まで搾りきらないで残乳を残してテートカップを外します。ご主人は普通エアーを止めてを全てのテートカップを一度に外すしますが、一本だけ早く搾れる時はその分だけ外しています。そして後の乳房はまとめて一度に外します。
最後まで搾りきりエアーが入り音がするまでミルカーを当ててはいけません。強い真空圧で乳房組織を傷めます。またエアーが入った以外のテートカップでは、陰圧が生じて牛乳の逆流が起こり、乳頭にかかります。これは細菌を乳頭に入れているようなことですね。よって、テートカップを全て一度に外すように雑誌などには書かれています。けれども、大体バラバラに搾り切れるものでご主人の場合、一本が早く搾りきれる時はその分を早く外して後はまとめて外しています。この場合エアーを入れないように素早く外します。

 搾乳の時間は出る乳量によって違いますが4分から6分くらいでしょう。雑誌などには若い人と年配の人では、搾乳時間に差があると書かれていますね。若い人は早く、年配の人は遅いそうです。丁寧に絞りきるのは先に述べたように乳房組織を傷めることになるので、若い人のように少々残乳があっても早く切り上げた方が良いのかもしれないですね。

 搾った牛乳はバルククーラ−に濾過紙のついた漏斗に移して入れます。いつもと同じ調子でさっと濾せました。乳房炎ではないですね。

 ここで濾過紙をいつもと違う速度で通過するようでしたら乳房炎で濾せ難いのかも知れません。よく観察します。しかしながらここでは合乳となってしまいますので悪い乳が混ざってしまうので直に漏斗を外しますがある程度は入ってしまうでしょう。最悪です。ここまでに乳房炎を発見して廃棄しないと検査で引っかかってしまいます。

 さて、私の搾乳が終わりましたが、ご主人はタオルを固く絞って乳頭をふき取り殺菌のテートコート剤を吹きつけて終わりです。
テートコート剤は搾乳が終わりしだい、まだ乳頭口が開いている状態の時に付けます。そうしないとテートコート剤も効きが悪いと云われています。
ご主人も毎回テートコート剤を使用しているのですがそれでも乳房炎は押さえきれないとなげいておられます。乳頭は乳牛が座れば牛床にこすり付けます。このため牛床が汚れていたり敷き料がないところなどは細菌はウヨウヨ入るわけですので乳頭は常に細菌感染を受ける状態ですね。おまけに乳頭のある所に後足を置いて立ちあがるので常に後足で乳頭を踏まれる恐れもあるのです。本当にどうぞ乳房炎になってくださいと云っているようなものです。難しい問題です。

 続いて隣の英子の番ですが、同じくカップに前搾りしてよく観察します。この英子は1乳房が慢性乳房炎でご主人を泣かせております。カップにはブツは見つかりませんでした。
3ヶ月ほど前に急性乳房炎をやり、抗生物質の軟膏を3種類使用しても治らず、県の家畜保健衛生所で検査の結果、カビの一種のカンジタが発見されています。このカンジタの治療も行なってみたのですが体細胞が40万から80万で慢性化しています。
ミルカーでこの乳房を除いた乳房を搾乳します。そしてミルカーを外してからこの慢性乳房炎の乳房だけ手搾りします。
この乳を検査用容器に入れて集乳車で検査に出します。体細胞の検査です。
この乳房でも1.8リットル出ますので手絞りも結構時間がかかります。手搾りも結構痛いので反対の手に持ち変えながらの搾乳です。ご主人の握力も結構な力があることでしょう。

 このようにして計5頭の搾乳が終わりました。1頭は乾乳中で搾乳しません。もう2週間先が分娩予定です。
ちょうど搾乳開始から50分かかっています。前搾りから最後のテートコート噴霧まで一頭平均10分です。

 続いて直にミルカーの洗浄です。ミルカーに付いている乳が乾ききらない内に洗浄します。 始めに40度弱の約10リットルの湯でエアーをかませながら吸いこみ乳を洗い流します。それから、50度の熱めの湯にアルカリ洗剤を溶かして10リットルを2回通し洗浄します。この時亀の子タワシでバケットを洗います。
この洗浄剤の入った湯でさらに乳頭洗浄に使用したバケツとタオルを洗います。肝心なことは乳頭洗浄したバケツをよく洗うことです。以前ご主人は洗剤の入らない湯だけで洗っていましたが脂肪分などの汚れが取れなく細菌の温床になっているような事に気が付き洗剤で洗うことにしました。
今回、酸性洗剤で分解洗浄もやることにしました。酸性洗剤は前回から5日ほど経っていますし、分解洗浄も一ヶ月前でしたので、遅い感じもしますが、専用のブラシでパイプなどを外して洗浄です。 最後に洗剤を流す湯を10リットルほど通してミルカーの洗浄の終わりです。

 奥さんは搾乳の間にぼろ出しをします。今夏ですのでハエの幼虫の駆除剤であるネポレックスを糞尿溝に撒いてネコ車で運び出します。
ご主人は奥さんのネポレックスを撒くのを見ながら、「撒き過ぎだ、もったいない」と言っておられます。でも結構、ハエも飛んでいます。奥さんも、「このくらい撒かないと効かないよ」と言い返しておられます。いつもの会話ですね。
夏からハエも刺しバエが多くなり、盛んに私達乳牛の足や体にとまって血を吸います。本当に痛いですね。しっぽで跳ね除けるのですが足先などは届かないし、またすぐにとまってきますね。足を上げて払いのけてもすぐにやってきます。どうでもなれといった感じで最後には投げやりです。ストレスたまりますよ。奥さんも少しでもハエの密度を少なくしようと薬をふっておられるのですがどことなく発生します。
ご主人も搾乳しながら足に止まって血を吸っているハエを手でたたいてくれますが、半分以上は逃げてしまいます。なかなか素早いです。すぐにさばるのでまたたたいてくれますがそのたたかれるのも痛いのでいやで体を硬くしますよ。

 ぼろだしが終わると子牛に話し掛けながらら子牛のぼろだしです。結構いろんな事を言っておられますね。子牛も慣れて邪魔したりすると、「こら!」と言われながらスコップで突つかれていますが、それでも寄って行きぼろだしの邪魔していますね。子牛の時代は可愛い物ですよ。

 ご主人も子牛の濃厚飼料をやって朝飯前の仕事を終わります。8時ですね。
これから、朝のご飯タイムです。

 8時半過ぎに再度やって来られ、ビートパルプと2度目の配合飼料をくれます。私どもはまだ、粗飼料をほっつき回している最中です。
そして、糞かきをして牛舎から出られます。ご主人も複合経営で葉たばこや芝生も作づけされているので結構忙しいようですね。

 昼過ぎ、畑より帰られたご主人は、まず牛舎に入り私どもを見渡してから糞かきします。 牛舎内の温度計は33度指しています。私は若いので呼吸もそんなに荒くないのですが、呼吸の荒い仲間もいます。きついですね。扇風機は最高速で回っています。

 さてご主人は、ビートパルプと配合の3回目をくれます。そうこうしていると集乳車がやってきます。集乳車の運転手さんと「暑いですね、乳量も減ったでしょう」「やあ、減りましたね、牛乳が足らないようで毎日集乳ですよ。」「それは大変ですね、ご苦労さんです。ここに検査用の乳がありますのでお願いします。」「わかりました。一緒に持って帰ります。」。といった感じで作業を見守っております。
集乳は、まずバルクの攪拌のスイッチを入れ攪拌します。そして温度計を出して検温します。バルククーラーにも温度計は付いているのですが間違いないか検査です。
次にアルコール検査です。これは腐敗していると凝集するのでそれを確かめます。運転手さんは明るい所に持って出てよく確認します。凝集はありません。合格です。さらにすくい取った牛乳を口に含んで味や匂いの検査です。これも問題ないようでパイプをつないで吸い取りします。
集乳車側ではサンプル乳用のカップに少しづつ入るようになっており、吸い取り中の牛乳が溜まります。吸い取りが終わるとサンプル乳が入ったカップをクーラーボックスに入れてしまいます。乳量の計量はリットルで出るので換算表を見ながらKgに換算して伝票に書きこみます。伝票には、乳量と検温の温度とアルコール検査の結果が書き込まれています。これで集乳車は帰りました。ご主人も伝票見ながら「乳量が減ったな。」と言って、牛舎から帰られました。

 お昼のかかりにご主人は顔を牛舎に出しました。様子を見る事と、糞かきです。私達乳牛は大量の糞をします。若い私のような乳牛は糞を牛床にしてしまいますが経験つんだ年よりの乳牛は後ずさりして、糞尿溝にします。また隣の牛床にするのもいます。自分の所を汚さない知恵でしょうね。とにかく糞かきしないとすぐに糞の上に寝そべってしまい乳房および乳頭をを糞だらけにします。ご主人頑張って糞かきしてください。

 夕方6時半にご主人と奥さんは畑より帰ってこられました。まずは一杯コーヒーを飲んでから牛舎に入られます。まだ温度計は30度で結構暑いですがこれから牛舎の晩仕事です。

 乳房炎を引き起こす1つの原因として、搾乳時間を変える事があります。乳牛は恒常的な性質を持っているので搾乳時間は大切な事です。
これを変化させると、たちまち乳房炎になるようで酪農家は神経質に搾乳時間を厳守するようにしております。たとえば、ご主人はどこかに出かけていても「私にはゴムバンドが付いているのでお先に失礼します」と云って帰ってきます。時間の許容は大体20分と云われていますね。

ご主人はまずサイレージをいれる袋を持ち出して、サイレージ取出しです。
イタリアンサイレージを4袋とデントコーンサイレージを4袋出します。奥さんはネポレックスを降ってぼろ出しです。
続いて、飼槽の掃除です。奥さんが食べ残しの綺麗なところを取って育成の子牛にやり、後をご主人がバリンかきで掃除して捨てます。

 続いて、粗飼料やりです。オーツヘイの乾燥、ヘイキュウブを与え配合をそれぞれにくれます。配合は一日に6回ですのでこれが4回目です。

 奥さんはバルククーラーの洗浄です。まず水道に直接接続したホウスで牛乳を洗い流します。そして約45度の湯にアルカリ洗剤と殺菌剤を入れて亀の子タワシで洗います。 見ていると相当力が入っているようで水飛沫が飛びます。牛乳の取りだし用のバルブも綺麗に洗います。次に湯で洗剤を洗い流します。バルククーラーの外側も綺麗に洗います。次に水道水で完全に洗剤を洗い落とします。400リットルのバルクを15分で洗います。
牛乳を入れる前に電気を入れてバルクの温度を下げると細菌数が上がらないで良いとインターネットの会議室で出ていましたがご主人はこれをやってはいません。今後考えられるかも知れないですが。

 ご主人はワラを押切で2束切って今度は、飼曹を眺め、先ほどの乾燥類を食べたか確認後、粗飼料のイタリアンサイレージ、デントコーンサイレージをくれました。
私達乳牛は熱が40度以上出ると物を食わなくなります。これで、畜主であるご主人に伝えるのですが物食いの状態で素早く健康を悟るのが畜主の条件です。

 これから搾乳開始です。時計は7時30分です。おっと、ご主人は住宅に帰り電話をされます。そうです、組合に今昼方検査に出した牛乳の体細胞の結果を聞くためです。結果は、体細胞が53万で、まだ合乳出来そうもありません。「仕方ないな、もったいないけどしょうがない」と云っておられます。 今年は、蚊がすごく発生してものすごく牛にたかっています。ご主人もとても搾乳どころでないので殺虫剤を噴霧してから搾乳です。

 我々乳牛は昼は刺しバエ、そして時たまやって来る恐ろしい吸血鬼のアブ、晩は蚊と血を吸われてしまいます。本当にこの暑さといい、ストレスばかりが溜まります。「ああもういやあだ、ご主人何とかしてください」「いろいろしているのだがどうも減らないね」「私達乳牛は神経もあるし生命ある生き物ですので考えてください」「そうだな殺虫剤を畜舎まわりに振って見るよ」といった感じですね。明日は、本当に畜舎周りの溝、草に殺虫剤をまこう。

 さて、朝と同じ搾乳の準備をして前搾りで黒い寒冷紗のブツの有る無しをよく調べます。続いて、乳頭をよくふき取り乳房全体を手をあてがって急性乳房炎での脹れがない事を確認して乳頭の乾いた状態でテートカップを装着します。

    搾乳終了後、私みな子はすぐに寝てしまいます。ご主人はまだテートコート剤を乳頭に噴霧していません。すぐに尻を蹴っ飛ばされ起こされてテートコートを噴霧されます。私としては、搾乳は大変疲労感を持ちます。射乳ホルモンの分泌は結構きついようで、さらに暑さの疲労感とでたまりません。
乳房炎の予防のためにもテートコート剤が乾くまで寝させないようにするのが良いのですがこの辺の改善が必要かも知れません。
ところで、搾乳後すぐに寝るのはいろいろな原因があるかも知れません。射乳ホルモンも大変ですが、さらに疲労させるような原因、たとえば第一胃の恒常性が減じている、貧血、硝酸体窒素の害も考えられるのでいろいろ考えて見るのも必要です。ご主人もデントコーンの硝酸体窒素が高いと言っておられましたが、ちょうどデントコーンのサイレージが最後で廃汁をしっかり含んでいるので注意してください。

 バルククーラーに移して、直に電源スイッチを入れます。以前忘れて全部廃棄した苦い経験があり注意が入ります。

  こうして5頭搾乳を終わりきちんとミルカー洗浄してバルククーラーの状態を確認後、搾乳を終わります。

 次に糞かきをして、牛床の後ろ側に消石灰を散布します。もちろん牛床の乾燥と殺菌ですね。家畜保健所から、カビの乳房炎が多発する所は、牛舎が過湿で乾燥しないことが原因だと云われているので、ご主人は毎日消石灰を降る事にしました。牛舎もご主人の先代が建てた湿気を遮断する対策のない物で確かに過湿になっています。昔からよく云われていました。
その上に敷き料のモミガラを散布します。これも細菌の住みかになっておが屑と同じく嫌われ者ですが確保が簡単ですのでご主人は使用しています。よく消石灰と攪拌して使用すれば良いと書物には書いてありますが攪拌はとても大変なので消石灰を撒いてその上にモミガラを入れることにしています。消石灰が乳頭に付くとどうも肌荒れを起こすようでうまくないようです。

   次に餌のビートパルプと5回目の配合飼料をくれます。寝ている牛も直ちに起きあがって食べます。私みな子も寝ていましたがすぐに起きあがって配合を食べます。健康な状態であればエサをくれた時は寝ていても起き上がるのが普通です。

 時間も9時前となり作業も終わりました。ご主人も昼間の暑さで疲労間も最大に達しておられます。消灯して住宅に帰って行かれました。私たちも十分に食べたので座り、反芻を始めました。この時が一番幸せを感じる時ですね。ご主人もこのような所を見るのが好きだと言っておられます。  さて、夜中11時半にご主人が牛舎にやって来られました。最後の見まわりと配合飼料の6回目の給与です。私たちもこの時間になると大体解かるので立って待っています。
配合をくれてから、糞かきして「お休み」と言って帰られました。扇風機3台も回りっぱなしです。

 ところで、毎日の管理の乳質の改善はおもに、細菌数と体細胞が主体となります。
乳脂率と無脂固形分は食べている餌の質と量に関係してきます。この夏、暑さに弱い乳牛は最も大変な時期です。醗酵曹である第一胃を持っているため常に熱を発生しているので生理的には粗飼料は継続的な醗酵しない柔らかい乾草が一番です。でもなかなかそうも行かないのでワラなども使用しますが、硬いワラなどは継続的に醗酵して熱が下がり難く物食いが悪くなります。ワラなどは少なくして乾草を多くしたいです。
ご主人も以前はワラを相当使用していましたがその頃は無脂固形分が夏季時に、規定値を割っていましたがオーツヘイの乾草を取り入れた結果割らないようになりました。

 暑いとどうしても物食いが悪く、また反芻も少なくなります。反芻することで、大量の唾液が胃袋に入るのですがこの唾液は重曹を大量に含み第一胃を中和しています。この作用が減ってくると酸性に傾くアシトーシスになり色々と問題が発生してきます。ご主人が配合飼料を1日に6回にも分けて与えるのもこのためです。
これを回避するのに直接重曹を餌に混ぜます。
餌の成分バランスもよく吟味して、アシトーシスや過剰なアンモニア発生にならないように注意します。
とにかく粗飼料と配合飼料を十分に食べてくれるように気温が下がる夕方と朝方に綺麗な餌を与え、十分な冷たい水を自由に与えることです。
こうすれば乳脂率と無脂固形分の成分が下がることがあっても規定値を割るほど下がることなく搾れると思います。

 生き物である乳牛の毎日の管理は本当に休みなしの毎日の管理です。確かに大変な仕事ですが酪農家は難なくそれをこなしています。本人にしてみればそんなに大変で無いのかも知れないです。何かあってそう思っているでしょう。
これは、酪農家しか解からない事かも知れませんが、きっと乳牛と云う生命との付き合いに生きがいがあるのでしょう。

 皆さん、それでもご主人の加盟している組合では、ヘルパー制度があり希望すれば1ヶ月に1回は休むことも出来ます。また、入院などの時のためにも互助会制度もあり安心して牛飼が出来る制度が充実してきております。

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