鳥取県の大山に広がる裾野の畑作地帯、そこが舞台だ
その昔、この辺では、どこを向いても乳牛や和牛がいた。
そして夏の真っ盛りまだ暗いときから、馬に馬車を引かせて
大きな谷に草刈に行く。
昨日の疲れもまだ取れていないのか馬車の上でつい寝てしまう。
それでも、馬は草刈場につれて行ってくれる。とにかく人より速く
条件の良い草刈場を探す。
午前10時ごろまで草を刈り、先日刈り取った乾燥した草を集めて
また馬車で帰る。
こんな光景が見られた当地(と長老より聞く)も酪農家は3軒となりました。
ではなぜ3軒残ったか。それは、3軒の主たるもの、皆、
乳牛が好きだからだ。乳牛って、飼育すればするほどに人の心を
和ませる家畜だ。
とは云っても、時には搾乳中蹴飛ばされたり、足を踏まれて声も
出ないほどにやられることは、ないでもない。
我が家の飼育実践
飼養頭数 | |
---|---|
成牛 | 6頭 |
育成牛 | 2頭 |
肉用子牛 | 4頭 |
飼料作物 | ||
---|---|---|
飼料専用畑 | デントコーン、イタリアン、ギニアグラス | 80a |
葉たばこ裏作 | 年内刈 2条大麦、燕麦 | 70a |
粗飼料 | 形体 | 重さ |
---|---|---|
イタリアン | サイレージ | 3 |
トーモロコシ | サイレージ | 10 |
オーツヘイ | 乾燥 | 0.5 |
ビートパルプ | 2 | |
ヘイキュ−ブ | 3 | |
稲わら | 乾燥 | 0.5 |
乳量 | 自家配 | サプリメント |
---|---|---|
30 | 9 | |
35 | 11 | 0.5 |
40 | 12 | 0.5 |
30 | 10 |
5)乾乳期の給与量
乾乳期に対しては新2本だて給与法は配合飼料は0とありますが現在、
新しい諸説が研究されています。
その1つとして、分娩後の疾病、乳量の増加に伴う養分量の給与の増量、
また、子牛の増体量による難産などを考慮します。
配合の種類はアニオンイオンで市販されている乾乳期用で、
乾乳スタート時〜 0Kg
分娩2週間前より、順次0.5Kgより2Kgまで給与
分娩当日〜2日 0Kg、6日までに3Kg
以後乳量に応じて増量しますが8Kgまでは1日1Kg、それ以降
0.5Kgとします。後は新2本立て給与法の量とし、Bb範囲の
量です。
新2本立てはBb範囲の下限である様ですのでBbになるように+します
なお、これは私が実践している方法ですが、こうしたほうが
良かったとか、ありましたら、ご意見をE−Mailお願いします。
6)疾病等
病気で1番多いのは、乳房炎です。夏の季節は大変ですね。BR>
問題なのは、乳頭を踏みつけられ、またはその経験牛です。これが
私のところでは1番です。
産後の起立不能、4胃位変はほとんどありません。ケトージスがたまに
出ます。
繁殖は発情時、獣医さんにお願いして種付けの時間を見ていただき、
種付けしておりますが平均1.5回でさらに短くしたいですね。
乳質改善(良質乳出荷表彰) 優良農家表札
1昨年H12年と昨年H13年続けて表彰していただきました。
この表彰は1年間 細菌、体細胞、乳脂率、無脂固形分 の規定値をクリアした優良農家に与えられます。
酪農家からの集乳はバルククーラーで冷却された牛乳を2日に1度行なわれます。
そしてサンプル乳が取られ、一旬(10日)に1回抜き打ち検査がされます。すなわち1年間に36回の抜き打ち検査がされ、すべての検査をクリアすると表彰していただけます。
細菌数 30万未満(目標10万未満)
細菌は搾乳機の洗浄、バルククーラーの洗浄をアルカリ洗剤(毎日)と酸性洗剤(3日おき)と組み合わせてすることが大事です。
もちろん搾乳時の乳房の洗浄方法、牛体特に乳房を汚さない努力も乳房炎予防からも大切です。
体細胞 30万未満(目標20万未満)
体細胞は乳房炎によって白血球が乳に入り込み、その白血球そして細菌と戦ったブツなどです。乳牛の3代病の1つで最も厄介な病気でこの乳房炎を如何に削減させるのが酪農家の試練です。
牛舎として牛床の乾燥、敷き料の減菌対策、同じく牛舎全体の乾燥風通し
搾乳技術として時間の厳守、前絞りのブツの検査、乳房の洗浄で乳頭のみ洗浄し乾燥させてからのテートカップの装着、から絞りの厳禁、など
餌の吟味、とくに硝酸体窒素は危険、粗飼料と濃厚飼料のバランス、栄養のバランス、第1胃の恒常性の維持、など
乳脂率 3.6%以上
牛乳に含まれる脂肪の割合で風味に関係します。
脂肪は、繊維から作られます。よっていかに粗飼料の食い込みを良くするかです。特に暑さと湿気に弱い乳牛ですので、梅雨から夏の暑さ、そして秋雨のころの夏ばてで食い込みの確保が大切です。
無脂固形分 8.5%以上
牛乳の固形分から脂肪を引いたもので牛乳の濃さに関係します。
乳牛が健康で飼料の食い込みが良く、栄養バランスがよい状態で無脂固形分は上がってきます。無脂固形分を下げる要因の1つが夏場の、暑さ湿気があります。いかに食い込みを維持するかです。以前はよく下がりましたが、乳牛の最適な乾草を取り入れることで維持できるようになりました
乳成分の規定値はごく普通の数値ですが1年間通じて抜き取り検査36回をクリアすることは相当の努力が必要とされると思います。
私が属する組合数は生組合員は330人で表彰は23人です。この中で連続5回3名、連続4回1名、連続3回2名、連続2回6名です。
特に連続4回以上の酪農家は神様のような酪農家だと私は思います。
なお、私の属する組合は日本でもトップの乳質を生産しています。